時計に関しても同じで、人それぞれ「良い」選択というのは変わってくると思います。
☆本日の紹介品
・銀座たちばな
人に何かものを贈るとき、その相手を思いながら、シチュエーションに合ったものを選ぶものです。お世話になっている人には自分のとっておきを選び、多くの人に配布する場合には知名度の高い分かりやすいものを選択する場合もあります。
今回、偶然ですが、極端な例のふたつが揃ったので写真を撮ってみました。
片方は、銀座たちばなのかりんとう。新橋寄りの銀座に店を構えるかりんとう専門店です。時計クラスタならばRASIN銀座本店から徒歩数分と言った方が通じそうですね。
1909年創業で、銀座8丁目の店舗でしか販売していません。百貨店出店も無ければ、通販もありません。店舗もこじんまりしていて、このご時世ならば1人しか入れません。商品も2種類で「ころ」と「さえだ」のみ。味の変化もありません。ころとさえだが袋に入っているか、缶に入っているかの組み合わせしか選べません。それでもお客さんが途絶えないのですよ。平日の開店直後の11時に伺った際には数名並んでおり、私が購入した後も2名ほど店外にいらっしゃいました。
缶がカワイイデザインで非常に上品でおいしいです。ころとさえだはお好みで。個人的にころが好きで買っています。
最近は口コミで「一見さん」の間でも注目度が上がっているのか、最近の日付で紹介する記事が複数確認できます。上質な素材を使っているのか、嫌味がなくて後味のすばらしい上品な味です。ここまでシンプルながら、ここまでおいしいってすごいなぁと毎度感心します。
しかしですよ、これって他の人に伝わるのかぁ?と感じる商品でもあります。こんなに上品なかりんとうは食べたことないと感じますが、ふっつーの(普通を極めた)かりんとうであり、アイコニックなキーワードも、ふわふわとかクリーミーとか、〇〇産の材料を!!!みたいな煽り文句もありません。たっぷり入っているとはいえ、袋入りで1000円です。結構高い。小分け袋もなく、気軽に人に贈るようなイメージではありません。
すると、わざわざ買ってきて、自分で小分けにして人にプレゼントしたとしても、その良さに全く気が付いてくれない可能性もあるのです。気が付いてもらわなければ意味がないとは思いませんが、「ふ~ん」で終わるのはちょっと悲しい。
そのため渡す対象は「味の差を感じ取ってくれそうな人」「この商品のこういうところが素晴らしいというプレゼンを聞いてくれる人」に限定しがちです。
一方、シュガーバターサンドの木は、東京土産の超定番ですね。個人的なイメージでは「東京ばなな系」「シュガーバターサンド系」、そして最近は「バターバトラー系」が東京駅のお土産三選といったところではないでしょうか?個包装でプレゼントしやすく、渡せばそれと気が付いてくれる。当たり前のように美味しく、東京・品川のどの駅売店でも販売しています。超便利。東京のお土産のおすすめを聞かれれば、その3つをお勧めします。
〇どちらが優れているということではない
銀座たちばなのかりんとうは非常に素晴らしいですが、一般的な知名度はシュガーバターサンドの方が上でしょう。味の観点から比べて、お土産として「美味しいね」と言ってもらえるレベルは両方ともに十分にクリアしています。銀座たちばなならば、東京在住の人が東京在住の人に渡す贈答品としても成立するというポイントはありますね。とはいえ、私のような地方在住民には関係がない話です。
すると、あとはどちらを選択するかは、その人の好みと、入手性と、シチュエーションといった要素によって選択することになります。
腕時計においても、絶対的に見てすばらしい時計はあります。雲上やランゲ、ブレゲなんかは最高峰です。2022年現在ではハズレモデルも無い印象です。しかし、それが常に誰にとっても最高かどうかは議論の余地があります。私はロレックスが好きですが、常に最高であるとは思いません。
これらの時計を素晴らしいと認めながら、G-SHOCKのオリジンも最高だと考えています。極めて頑丈で、デザインも良く、精度も高くて、入手性が良く、安価です。しかも軽量。
G-SHOCKは極端な例だとしても、例えばオメガのように「店舗がたくさんあって商品が並んでおり、カラーも選び放題で、ド定番スピマスを擁し、実力も高い」というのも素晴らしいと感じます。就職とか昇格祝いに納期1年の時計を待つのも変でしょう。(少し前まではロレックスもそういう立ち位置だったはずなのですが…)
話が発散しかかっていますが、私が言いたかったことは「物単品で良し悪しが定まるわけではない」と私は考えているということです。定まるとするならば、「そのモデルを求める背景や、その人の考えとマッチするか否か」だと考えるわけです。あぁ、もちろん「いや、それはどう考えても無いやろ」という適当な商品コンセプトのものもありますけどね(苦笑)
ですので、あれが良いとかこれが良いという話はエンターテイメントだと思って受け取り、自分なら選ばないような商品を買っているのを見かけたら「あの人は、どういう考えを持って、これを買ったのだろうか?」と想像することで、新たな魅力や需要に気づくことができるかもしれません。いわば、新たな視点が得られるかもしれません。