34mmは好みだが、現在の基準なら36~38mmが標準的かと
コンパクトで堅実なクォーツ時計をビジネスやフォーマルに使うというのは、私以外にも需要があるだろうと考えて、私の検討内容をまとめてみました。
そこで取り上げるのがGrand Seiko SBGX261とThe Citizen AB9000-61Eです。この2本について、機能面や試着した際の印象(デザインなど)をまとめてみます。
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☆本日の時計
・Grand Seiko SBGX261 The Citizen AB9000-61E
〇はじめに
時計にあまり興味がない方、好きだけどカジュアルな時計が好きな方でも、それなりの年齢や立場になると、スーツにマッチする堅実な腕時計が欲しくなることがあります。具体的に言えば、出張で客先と会ったり、年に数回の会合や宴会(パーティー)、冠婚葬祭などです。不要だと考えるのも良し、まぁ1本ぐらいはと思うのも良し。とりあえずここでは、1本探すと仮定しましょう。
そのような場面をばっちりとこなし、精度が高く、止まってしまう心配の極めて少ないクォーツ時計で、コストパフォーマンスを考えるのであれば、セイコーとシチズンを選ぶのが堅い選択だと私は考えます。
以上の考えから、日本人の腕にマッチする時計としてセイコーとシチズンから2本チョイスしました。それら2本について性能面の比較と試着での比較を合わせて紹介しています。
〇Grand SeikoとThe Citizen
セイコーとシチズンは1960年代からのライバルです。Grand Seikoは1960年にデビューしてから、紆余曲折ありながら現在まで続くセイコーのトップブランドです。一方、The Citizenは1995年のスタートですが、Chronomasterという名前とケースバックの鷲のマークは1965年まで遡り、シチズン内でトップブランドとして扱われてきました。
共に、各ブランドのトップブランドとしてつけられた名前であり、自信と最高性能と最高品質を表した名前であると言えます。
〇各ブランドのサポート体制
腕時計は単品の品質の高さと共に、サポート体制が重要視されるジャンルの製品です。セイコーもシチズンも各社の中では最も手厚いサービスとなっていますが、少し差があります。
★グランドセイコー
部品保有期間 10年
保証期間 3年
コンプリートサービス・電池交換サービス完備(有償)
★ザ シチズン
10年間無償保証
無償定期点検
(10年間の無償保証であることから、部品保有はさらに長いと思われる)
グランドセイコーは最近、部品の10年保有を明言するようになりました。ですので実使用においては心配なさそうです。が、ザ シチズンの保証体制は素晴らしいですね。かなり安心して使用できると私は感じました。
〇ピックアップした2本
今回の選定基準は以下の通りです。
・38mm以下のサイズ感
・スーツにマッチするシンプルさ
・3針デザイン
・薄手のケース
・メタルバンド
・色の選択肢がある
・精度の高いクォーツ
私の個人的な考えですが、欧米人に比べて細い腕の人が多い日本人がスーツにマッチすることを優先するなら38mm以下を選ぶべきと考えています。私の腕周りは18.5cmと、日本人の平均より少し太いぐらいですが、このぐらいのサイズ感が収まりが良く見栄えが良いです。
また、どんな場面でも使えることを優先するなら、ラグの張り出しが小さいコンパクトでシンプルな3針モデルを選ぶのが、より堅く無難な選択です。
メタルバンドモデルであれば、よりフォーマルな場に合わせるために革ベルトの時計が必要になっても交換可能ですし、高温多湿で多雨な日本で耐久性を考えるとメタルバンドを推奨したいです。文字盤の色は、銀(白)がフォーマル寄りですが、現代の日本において銀・白・黒・濃紺・茶ぐらいであれば問題にならないと私は感じています。
※注記
正直に言って、各公式サイトの写真は良さが出ていないように思います。以下に示す商品リンクでは、写真が良いショップを選んでおきましたので、そちらの写真と合わせて以下を読んでもらうと分かりやすいかもしれません。
〇Grand Seiko SBGX261
SBGX261はケース径37mmで、ムーブメントは9F62という年差±10秒の高精度クォーツを搭載しています。実用上は電池交換やメンテナンスの際に時刻合わせをする程度で十分でしょう。(公式サイト)
色はこの他に、シルバー、ホワイト、ブルー、ブラウン等があります。
〇The Citizen AB9000-61E
AB9000-61Eは、ケース径38mm、ムーブメントはA660という年差±5秒かつ永久カレンダーの高精度クォーツを搭載しています。この辺りの差は後に検討します。こちらも時刻合わせ不要と言ってしまって良いでしょう。(公式サイト)
色はこの他に、シルバーとブルーがあります。
〇SBGX261とAB9000-61Eを機能面で比較
精度に関しては共に最高峰です。クォーツ(つまり水晶発振子)は温度によりその発振周波数が微妙に変わる(人工衛星用とかはヒーターで一定温度に保つほど)のですが、共に温度センサーを備えてキャリブレーションしながら時間を刻む仕組みを持っています。9F62は1日に550回、A660は1日に1440回補正しています。
A660の方が数値上は優れています。ただ、本当に必要な補正回数はどの程度か分かりにくいことや、9F62の実力値が分からない以上は、どちらが優れているかは判断しにくいです。
さて、機能面で大きく違う点が1つあります。A660は永久カレンダー搭載です。これは、内部に年月の情報を保存しておき、30日しかない月は31日を飛ばして1日に日付変更され、うるう年も対応、という物で、精度も合わせて考えるとリューズを操作する必要は皆無と言って良いでしょう。これは地味ですが大きな差でA660の優位点です。
〇SBGX261とAB9000-61Eの試着比較
後で書きますが、長期的に見て日本製の質の高いクォーツ時計は1本欲しいと考えておりまして、かなりマジで試着比較してきました。
SBGX261とAB9000-61Eは数値上はSBGX261の方が小さいですが、測定方法やケースの厚みなどの具合もあって、むしろAB9000-61Eの方がコンパクトに感じます。SBGX261は横幅も縦幅も太めのラグに、ケースサイドまで少し厚みのあるデザインに対し、AB9000-61Eはラグはベルトに向かって滑らかに繋がっており、サイドも薄目に仕立てられています。また、メタルバンドもAB9000-61Eの方が薄手に仕上げられており、この辺りもコンパクトに感じる理由になっています。
黒に限って言えば、2つには大きな違いがあります。SBGX261はミラー仕上げでフラットですが、AB9000-61Eはサンレイ仕上げで中心に向かって細かな筋が入っていてやや乱反射します。この辺りは好みですが、じっくりと見るとAB9000-61Eの方が高級感があるように見えます。しかし着用して比較するとSBGX261は引き締まって見えて好ましく感じますし、AB9000-61Eはやや煌びやかな感じで、これまた良いです。
日付表示は、SBGX261は黒文字盤に黒色表示で、AB9000-61Eは黒文字盤に白色表示になっています。グランドセイコーは色によってこの辺りの処理が違うので注目してみてください。どちらが良いかは好みですが、SBGX261には統一感があり、AB9000-61Eは日付が目立つ感じがあります。
仕上げは双方ともに素晴らしいです。
〇どちらを選ぶか
★デザイン
極端に比較すると、SBGX261はメタルバンドの厚みも相まって力強さがあり、AB9000-61Eはより凝縮感があってエレガントな方向性です。後は、黒文字盤を選ぶのであれば、ミラー仕上げかサンレイ仕上げか、というところがポイントになりそうです。
★ブランド価値
先に示した通り保証はシチズンが一歩リードです。しかし、知名度はグランドセイコーが2歩も3歩も優勢だと私は感じます。時計に興味が無くてもGSは男性なら半数以上は知っているでしょうが、ザ シチズンは知名度2~3割が関の山ではないでしょうか?
★機能面
精度は同等すると、永久カレンダーが差になります。その他、今回は省略しましたが、グランドセイコーは針の動きにも売りがあり、この辺りを好むのなら優位かもしれません。
〇最後に
自分は地味ながら良質で堅実なクォーツ時計として、The Citizenを候補とすることにしました。まだ買う予定はないですが、管理職に昇格するようなことがあれば是非とも買いたいと思っています。(まだ先と思いきや、勤続年数だけ見ると2~3年以内なんですよね…) さて、昇格が先かディスコンが先か…(終売前に買いますよ 苦笑)
今回示したモデル以外でも、ごくシンプルなGSおよびThe Citizenは、どんな場面でも活躍してくれる素晴らしい時計です。結婚祝い、お子さんの誕生に合わせて、昇格祝い。そのような節目に買って、10年以上の間、共に自分の戦場で戦う相棒として活躍してくれるはずですし、そうやって使われた時計は素晴らしいと私は思います。
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