そこで今回は、4R系ムーブメントのそれぞれの違いと、実際に使ってゆく中での私の感想や注意点、取り扱い方法を中心に、このムーブメントの付き合い方や私の個体の精度などをまとめてみます。
※追記
より低価格なダイバーズウォッチやセイコー5に採用されている7S26については以下にまとめてあります。
→7S26ムーブメントとの付き合い方
☆本日の時計
・セイコー タートル SRP775
〇セイコー4R系ムーブメント概要
4Rシリーズの共通の特徴をざっくりとまとめます。
・時間 分 センター秒針
・パワーリザーブ41時間
・手巻き有
・セコンドハック有
・21600振動/時=6振動=3Hz
・精度保証-35~+45秒
精度保証はやけに悪い数字が書いてありますね…(公式:SBDY021) ここまで悪いことは無いと思いますけど…。振動数はETA2824-2よりも少しロービートな6振動。機械時計初心者の方は、数値が少ない=悪い?と思ってしまうかもしれませんが、気にする必要はありません。何事もバランスなので、精度がそこそこ出て故障が少なくてパワーリザーブが十分なバランスになっていれば良いと私は考えています。
4R系は色々と種類があります。2019年3月現在で採用モデルの多い3つのムーブメントについて、上記の機能以外の部分を紹介します。
★4R35
デイト(日)/23石★4R36
デイデイト(日&曜日2ヶ国表示)/24石★4R57
日付針表示/パワーリザーブ表示/29石〇日付・曜日・時間の変更の方法
曜日が無いムーブメントもありますので、そのあたりは飛ばして読んでください。
★4R35&4R57の場合
ねじ込み式リューズの場合は、ネジを緩めて、そうでない場合はそのまま引っ張って、1段引くと日付の変更で、2段引くと時分の変更となります。
★4R36の場合
ねじ込み式リューズの場合は、ネジを緩めて、そうでない場合はそのまま引っ張って、1段引くと日付と曜日の変更で、2段引くと時分の変更となります。
日付と曜日が変わり始めている時間帯にこれらを換えようとすると、ギヤが噛み合っているのを無理に動かすことになり、一発で故障の原因となります。そこで、説明書に書かれている手順を元に以下のように行います。曜日は、英語とアラビア語といったように、2か国語書かれていて、1日で2つ分進むようになっています。もし止まっていたら、リューズのネジを緩めるた状態(ねじ式でなければそのままで)リューズを巻くなり、時計を振って、時計が動く程度にゼンマイを巻いておきましょう。
1.秒はどの位置でもOKなので、2段引く。
この状態で、時間を進める。回転方向は時計回り。
リューズを押す方向にまわす。それで日付が変更になるまで進める。
ここが0時になります。
2.ここから更に時計回りで12時間進める。
これでお昼の12時。
3.リューズを1つ押し込んで1段引いた状態に戻す。
4.日付を設定します。
反時計回り(引き戻す方向)にリューズを回して日付を今の1日前、
今日が3日なら2日に設定する。
5.曜日を設定します。
時計回り(押し込む方向)にリューズを回し、曜日を今の1日前、
今日が火曜なら月曜の表示したい言語にする。
6.0秒ちょうどでリューズを引いて2段引いた状態にする。
7.リューズを時計回りに回して1日進める。
これで現在の日付と曜日になりました。
8.さらに時間を進めて現在時間+1分に合わせる。
今が午後なら1周(12時間進めましょう)
9.基準となる時間が1分繰り上がって0秒になった瞬間に
リューズを押しこんで戻す。
10.ねじ込み式リューズはしっかりと締め込む。
改めて文字に起こすと結構面倒ですね(汗)
これは、日付・曜日変更禁止時間の午後9時から午前4時にこれらを変更させないための方法になっています。慣れてくればそこを外して微調整できるようになってきますが、それまでは以上の方法を遵守した方が安全です。逆に、ここさえ守れば壊れることはめったに無いのでは?と思います。
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〇パワーリザーブ41時間は十分か?
完全に巻き上がった状態で土曜に日付が変わった瞬間(0時)に外したとすると、41時間後は日曜17時に止まるということになります。よって、土日外しておいて月曜朝に使うのには不足します。
ただしこれは、完全に巻かれた状態での話です。私がお世話になっている時計屋さんの話ですと『おおよそ30%は予備と考えた方が良い』とのことです。つまり、1日分24時間+17時間の予備という感じです。(60時間なら、2日分48時間+12時間の予備)
さて、これが十分かどうかを判定をするには、皆様の使い方が大きく影響しそうです。ヘビーローテーションで毎日のように使用していれば止まることなく使えます。1日使わなくても問題なし、という感じ。使わずに土日を越したいという場合は、土曜か日曜のどちらかである程度使うか巻き足す必要がありそうです。
〇精度は?
ネットの評判を見ると、『保証範囲は広いが自分は±5秒ぐらいでアタリ!』とか『平置きは良いけど実使用では誤差大きめ』などといった報告があります。私の個体は、SRP775J1のレビュー(こちら)でも書きましたが、+5秒弱/日で精度良く安定しています。SRP775J1は日本製でして、調整が良いのかなぁ?などと思いますが、こればっかりは個体差だと思っておいた方が良さそうです。
〇巻き上げ効率は?
比較が難しいですが、十分な巻き上げ効率だと感じています。少なくとも、デスクワークがほとんどで、そんなに歩かない私ですが、半日以上着用しておけば次の朝に止まっているということは有りません。
ですので、使用前に動いてさえすれば、そこから着用すれば1日中巻き上げながら使えるという感じで使えています。
★主要搭載モデル
セイコーのラインナップには4Rと別に6Rシリーズがあり、6R系の方がより上位で、4Rは中位、7S26等はセイコー5一般で下位と分けられている様子。
セイコーの売れ筋人気商品PRESAGE(プレザージュ)のベーシックラインには4R系が使用されています。就活向け時計として人気ですので、初めての機械時計が4Rという可能性も結構高いです。
↓4R35↓
↓4R36↓
↓4R57↓
〇最後に
基本的に4R系は、1本の時計を使い続ける人もしくは多くても2本を交互に使う人向けのムーブメントとして設計されているように思います。
ワインダーを使って、ということも考えられますが、数本から好みの物を選んで使うというようなタイプの人は、ちょっと面倒な日付・曜日・時間の調整も楽しみながらサッとやってしまえるようになる必要がありそうです。もしくは日付と曜日の調整は諦めるか、ですね…。
2019年3月現在、4R系と6R系の立ち位置が微妙で、ちょっと安いモデルに4R系という手抜き感がちょっとあります…。それは置いておいても、精度の評判は調べた限り全体的に良い感じですし、微調整のために機械を触ったり、日付曜日変更禁止時間をミスったりしなければ故障の心配も少なめのようで、個人的には信頼しています。
初めての機械時計で心配だ!という人にも、比較的安価で精度も結構良い機械なので、これらの機械を通じて付き合い方を学んでいただければ…と思っております。
4R36を搭載したセイコーサードダイバー復刻(タートル)SRP775のレビューもあります。
→レビューはこちら
より低価格なダイバーズウォッチやセイコー5に採用されている7S26については以下にまとめてあります。
→7S26ムーブメントとの付き合い方
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