14Kペン先ながら5000円で売られ続けた「昔ながらの万年筆」といったところでしょう。
さすがに時代と相場が合わなくなり、廃番後にPTL-10000の18Kペン先となって1万円に値上がりして現在に至ります。
それでもお買い得な部類だと思いますが。
なんとも素朴な良いペンだと思いましたので、すこし紹介いたします。
☆本日の時計
・プラチナ万年筆 美巧 PTL-5000 (PTL-10000)
〇プラチナ 美巧を買ったきっかけ
普段は文字を書く機会もなくて万年筆とは疎遠になるのですが、資格試験で文字を書いて勉強するので出番が回ってきます。せっかく出番が回ってくるんだから、持っている物を使えば良いものを…
資格勉強に飽きてくると、やる気を出すという名目で物欲が高まってきます。「勉強で使うんだから」などという非論理的な(笑)理屈を作りだし、万年筆を物色したりしておりました。
そんなある日、よく行く文具チェーン店を覗くと、見慣れないシンプルで素朴な万年筆が一本だけ居るじゃないですか。(間違いなく、これまでは素通りしてしまっていた。)
自分は、黒かペリカンのグリーンしか持っておらず、欲しいと思っていた赤系で、今の気分に合う細身の万年筆。国産、しかもプラチナのEFは細すぎるとは思ったものの、細いペンが欲しい気持ちともある程度マッチしていました。
そしてもう一点重要なことは、私が好きなプラチナのベラージュ(おそらく1980年代)と見た目が良く似ているから、というのが購入に至った決め手でした。
〇プラチナ 美巧 PTL-5000の書き味
PTL-5000はカートリッジ式のごく普通の構造です。色味が漆のように見えますがプラスチックの成型色です。結構艶っぽくて良い色味ですよ。
細身かつ構造が単純でシンプル(かつ価格なりにプラ製)なのでとても軽量で、軽快な書き味に繋がっています。昔の自分なら、重みが足りないなどと思っていたでしょうが、鉛筆を愛用するようになってから軽量さの良さも分かるようになってきました。
ペン先は14K。書いた通りEFです。
私が、記憶を頼りに見た目が似ていると思ったベラージュは、柔らかくて丸い書き味です。でも柔らかすぎずにコシがある。
一方、PTL-5000は、しっかりはっきりコシがあり、ガシッと硬い書き味です。EFの極細ということで、カリカリとした感覚も強いです。
それもそのはずで、大雑把には似ているように見えますが、ペン先の細り方や、厚さの配分を見ると、あきらかにTPL-5000はバネレートが高そうです。
このブログを書いていて気が付いたのですが、上屋を軽く、バネレートは高くって、これはスポーツカーのアプローチですね。たしかに紙面のインフォメーションは強く感じ、軽快にペン先を動かすことができます。
ただ、ペンポイントが詰まり過ぎていてインクフローが悪い点と、エッジが立ちすぎていてガリガリするところがあるのが気になりました。
というわけで、ペン先を少しだけ広げるのと、ペンポイントの間を少し広げること、角を丸めるように少し削ることなど手を加えました。
現在ではインクフローはそれなりで、筆圧低めでしっかりと載ってくれます。引っ掛かりが減った分、すこし柔らかい印象も出てきました。不思議なものです。
〇柔らかすぎると…
PTL-5000はしっかりとした書き心地です。数式をドカドカと大量に書いてゆくのに、細さと軽快さが良いです。それ以外にも数式を書くのにマッチしている点があります。
それは、書き味が「素っ気ない点」です。
私はペリカン M1000も持っています。あれは良いペンです。色気のある柔らかい書き味です。しかし、しかしですね。書き味が良すぎる。
書き味が良すぎるペンを使っていると、どうにも書き味の気持ちよさに心が引っ張られてしまって、勉強にならない(苦笑)
いや、冗談と思われるかもしれませんが、これは由々しき問題ですよ。
その点、PTL-5000のような、硬く、しっかりとした書き味は、思考を邪魔しないのです。これって、道具としては非常に優れていると思うのですが…。
現行はPTL-10000。18Kペン先になって実勢9000円です。これでもお買い得な部類でしょう。ざっくりと調べたところ、5000に比べて少しだけ柔らかくなったらしいですが、そこまで変わっていないのでは?と予想しています。(比較できていない)
気に入っているし、買い足しておこうかな?などと考えだしたら、キリがありませんね。