※当サイトはAmazonアフィリエイト、Google Adsense、楽天アフィリエイトによる公告を掲載し、収入を得ています。

2023年1月10日火曜日

ミヨタムーブメント Cal.9015の使い方や付き合い方(精度テストもあります)

ミヨタ製自動巻き機械式ムーブメントCal.9015の使用方法やパワーリザーブ、巻き上がり効率などについて説明します。
また、私の購入した個体について、実際に着用した際の精度も測定しました。


☆本日の時計

・ミヨタ製自動巻き機械式ムーブメント Cal.9015


↓テストしたモデル
DUFAのGUNTER(ギュンター)を買いました。キレがあり、デザイン性の高い時計です。デザイナーの描いた線を再現するのに非常に努力しているモデルだと感じました。仕上げの粗さは気になりますが、情熱を感じる良い時計です。

〇スペック


・自動巻き(片方向巻き上げ)
・24石
・2万8800振動/時
・パワーリザーブ 約42時間
・デイト表示&ハック付き
・日差-10~+30秒
・姿勢差30秒以下


ちなみに、直径はETA2824-2やETA2892A2と同じで、厚さがETA2892A2よりわずかに厚い3.9mmです。10万円前後のモデルに搭載される安価な汎用ムーブメントの中では薄型になります。


〇Cal.9015の大まかな評価


 先にミヨタについて。ミヨタはシチズン系のムーブメントサプライヤです。シチズン傘下の別会社だったのがグループ会社に統合されたり、あっちいったりこっちいったりしていて、詳しくは追いきれず現在の正確な所属までは分かりませんでした。(おそらくシチズン時計株式会社の部門) とにかく、シチズンのムーブメント開発・製造で重要な役割を果たしてきました。

 そんなミヨタが2010年ごろにリリースしたのがCal.9015です。中高機向けを視野に入れた設計で、30年ぶりの新作機械式ムーブメントであったようです。後に、ザ・シチズンのベースムーブメントにも用いられました。そのような構想があっての設計だったのでしょう。


 それだけ入魂の設計であったのか有識者からの評価も高く、独立時計師の浅岡さんによるブランド「クロノトウキョウ」にも採用され、ツイッターで9015を褒める発言をされています。

 スペックは、2万8800振動/時とそこそこハイビートな設計に、24石と高級とされる仕立てです。パワーリザーブは2010年当時の標準的な40時間です。現在のロングパワーリザーブ合戦の中では見劣りしますが、実際の使用感はどうでしょうか? 使ってみて検証します。



〇片巻き上げ式の評価と巻き上がり効率


 片巻き上げ、あるいは片方向巻き上げ式とは、自動巻きローターが回るときに一方向しか巻き上げされない機構のことです。両方向の巻き上げ方式の方が効率が良いように思えますが、ある方向から逆方向に回転する際に「巻き上げができない無駄な回転(いわゆる遊び)」が生じてしまうため、それなりに勢いよくローターが回らなければ巻き上がらないデメリットがあります。片巻き上げでは片方は空転しますが、もう片方は遊びが小さく、デスクワーク中心で腕を動かす機会の少ない現代人には合っているのではないか?というのが近年の評価です。

 ここで、片巻き上げの巻き上げ量の実力値をテストしてみました。使用する前日の夜(20時)に手巻きで巻き上げ、朝8時に着用して出社。30分程度の歩行を含む出社、ほぼデスクワーク、歩行を含んだ退社の後、20時に外して平置きしました。

 この状況で放置しますと、時計は翌々日の17時頃で停止していました。この結果から、約45時間稼働し続けたことになります。約40時間経過時点では誤差も拡大せずに正確でした。(そのあとはチェックできていない。)

 この結果から、私の場合は1日の消費と巻き上げのバランスがとれていると言えます。(1日の活動で完全に巻き上がっていると予想されるため。) 生活パターンは様々なので一概には言えませんが、巻き上げ効率はかなり高いと思われます。



〇Cal.9015の精度の実力値


 あくまで私の購入した個体の測定精度なので、個体差は絶対にあります。(安価なモデルは個体差が出ます。高級品は個体差を減らすためにお金をかけています。)
 さて、実際に使用した際の私の個体の精度は、最初の4日間は+7秒/日以下で安定していました。その後の4日間でも+8秒/日程度でした。生活リズムなどはほぼ変わらず。この傾向の差は、単に数日使用したことで稼働が安定してきたのか、気温がぐっと下がったので非着用時の温度が低くなったことが影響したと考えられます。ただ、どちらにしても精度が高く、日ごとのバラつきが小さいことは高評価です。
 ほかの人の評価を見ても、精度が悪い報告を見かけないですね。これはすごい。


〇Cal.9015の操作方法と操作時の注意点~日付・曜日・時間の合わせ方~


 ねじ込み式リューズの場合は、ネジを緩めて、そうでない場合はそのまま引っ張って、1段引くと日付の変更で、2段引くと時分の変更となります。

日付と曜日が変わり始めている時間帯にこれらを変えようとすると、ギヤが噛み合っているのを無理に動かすことになり、一発で故障の原因となります。そこで、説明書に書かれている手順を元に以下のように行います。
 時間調整の際に止まっていたら、リューズのネジを緩めるた状態(ねじ式でなければそのまま)でリューズを巻いて、時計が動く程度にゼンマイを巻いておきましょう。 片巻き上げ式なので時計を振っても巻くことが難しいです。


1.秒はどの位置でもOKなので、2段引く。
  この状態で、時間を進める。リューズ回転方向は半時計回り。
  リューズを下方向にまわす。それで日付が変更になるまで進める。
  ここが0時になります。

2.ここから更に12時間進める。
  これでお昼の12時。

3.リューズを1つ押し込んで1段引いた状態に戻す。

4.日付を設定します。
  リューズを時計回り(上方向)に回して日付を今の1日前、
  今日が3日なら2日に設定する。

6.0秒ちょうどでリューズを引いて1段引いた状態にする。

7.リューズを半時計回りに回して時間を1日分進める。
  これで現在の日付になりました。

8.さらに時間を進めて現在時間+1分に合わせる。
  今が午後なら1周(12時間進めましょう)

9.基準となる時間が1分繰り上がって0秒になった瞬間に
  リューズを押しこんで戻す。

10.ねじ込み式リューズはしっかりと締め込む。


 これは、日付・曜日変更禁止時間の午後9時から午前4時にこれらを変更させないための方法になっています。慣れてくればそこを外して微調整できるようになってきますが、それまでは以上の方法を遵守した方が安全です。逆に、ここさえ守れば壊れることはめったに無いのでは?と思います。

 操作感は良好で、日付の変更もスムーズです。また、時刻調整も遊びが少なくてしっとりとしています。難点は、手で振っても自動巻きが巻き上がりにくいこと。(片巻き上げのためにローターが空転しやすい。) しかし、巻き上げ効率が高いので、手巻きで動く程度まで巻いて、あとは着用すればOKです。


〇ミヨタ(シチズン) Cal.9015の私の評価


 よくできています。精度が高くて、巻き上げ効率が高い。薄型設計で、時計の仕上がり厚さも薄くなります。10年ほど使われているし、ザ・シチズンベースにもなりましたから信頼性も高いでしょう。もう文句ないです。
 扱う際は、片巻き上げであることだけは注意してください。最近の高級機でも片巻き上げが増えてきましたから、その練習にもなると思います。

↓テストしたモデルはこちらです。
DUFAのGUNTER(ギュンター)を買いました。キレがあり、デザイン性の高い時計です。デザイナーの描いた線を再現するのに非常に努力しているモデルだと感じました。仕上げの粗さは気になりますが、情熱を感じる良い時計です。