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2020年11月8日日曜日

[ホワイトキングスが販売]アルファ クロノグラフはムーブメントの魅力が楽しめる良く出来た時計[レンタル品]

今回は、ホワイトキングスさんよりアルファ クロノグラフをお借りしてのレビューです。

少し詳しい人はこの姿にピンときますよね? そう、デイトナのポールニューマンモデル。

言い逃れできない程の似せ方の本モデル。レビューの依頼を受けたのには理由があり、実際に手に持って見ると「悔しいけど良く出来ている」という仕上がりだったからです。
 
コピーはダメとして、オマージュを許容するかどうかの議論は少し横に置いておいて、本機に真正面から向き合ったのがこのレビュー記事となります。



☆本日の時計

・アルファ クロノグラフ ポールニューマンモデルオマージュ


〇この記事を執筆するにあたり

 今回のアルファ クロノグラフは、ポールニューマンが愛用し、後のオークションにて20億円で落札されて伝説となったデイトナRef.6239を模したモデルです。見比べると分かりますが、私は本機に対して「似せすぎ」とネガティブな感想を持っています。少なくとも、私はこの時計をどれだけ評価しても、「フェイクだ」と断じられれば否定できないと考えています。この辺りは、人によって判断基準が異なってくるので、本当に微妙な問題を含んでいます。
 そんなこんなで距離を取っていたアルファですが、ホワイトキングス代表より、サンプルを貸していただけるとのことでレビューをすることにしました。この話を受けようと考えたのは、実物を見ると時計としての魅力にあふれていて良いと感じたからです。これを機に、しっかり向き合ってみようというのが今回の記事となります。


〇アルファ クロノグラフ 

 
 さて、今回のアルファ クロノグラフです。アルファは香港を拠点とし、ロレックスやオメガのあれやこれやのオマージュ(というかそのままな)を作っています。昨今は低価格帯オリジナルウォッチを作るメーカーが増えましたが、その中では古株ですね。
 本機が搭載するのはシーガルの手巻きクロノグラフムーブメントSG2903で、いわゆる中華ヴィーナスと呼ばれるもの。実績のあるヴィーナス175の設計を引き継ぎ、素性の良さが期待できます。3時位置に30分積算計、6時位置に24時間計(積算計ではないので注意)、9時位置にスモールセコンドを備えます。きちんとどれも動作します。時間合わせおよび巻き上げのリュウズ、クロノグラフのスタート/ストップの上側プッシャーと、クロノグラフリセットの下側プッシャーはすべてネジ込み式となっており、防水性能を確保しています。これは比較的現代的なデイトナの仕様を取り入れています。


 さて、本題に進んでいく前に、ホワイトキングスがこれを扱うに至った経緯と、販売前メンテナンスについて触れておく必要があります。
 ホワイトキングス代表が個人的に入手した際に、素性の良いムーブメントの魅力が活かされ、全体的なデザインのバランスの良い本機のポテンシャルの高さに驚いたそうです。取り扱いたいと思う一方で、ホワイトキングスとして扱うには品質を満たせない可能性があると考えて、全数納入前整備を施すことで取り扱いを決意したとのこと。代表は、品質を高めることにより直売との差額分の安心は提供できると自信をのぞかせていました。
私個人は他の個体を見た訳ではないので、これについて判断を下すことはできませんし、アルファ製品全体について述べることはできません。ですので、この記事はホワイトキングスが整備した個体について言及してゆくこととします。



〇実際に使ってみてどうでしょう?


 ケースサイズは39mmと最近のクロノグラフの中では比較的小型で、タキメーターの分だけ文字盤が小さくなってコンパクトに見えます。ケースの厚さは風防込みで15mmで、パッと持った感じは厚みを感じます。

 ケースは、サテンとポリッシュの境目のキレがあり、見栄えは良いです。これぐらいの価格帯のオマージュウォッチは、全体的に梨地であったりポリッシュがかかったりして角が丸まっていることが多いので、アルファのキレのある雰囲気はセールスポイントになります。ただし、どこか、ちょっと粗野な、大雑把な感じはあります。(微妙なデザインバランスかなぁ?)

本当は数コマ外して、クラスプは伸ばしたほうが適正です。

 ラグ幅20mmのブレスは、おそらく中空タイプで軽量な物が併せられています。クラスプも4桁のロレックスが使っていたようなタイプ。

 装着感はなかなか良いです。フラッシュフィットとラグのフィット感も悪くありません。私の腕の太さ(周囲17.5cm)との相性が良い可能性があります。全体は厚いですが、タイトフィットさせてやると時計全体が薄く見えるバランスとなります。ただし、もうちょっと薄く仕立ててくれれば嬉しいですね。

 時計のヘッドはサイズの割に軽量(悪く言えば、なんか軽い)で、軽量なブレスと軽量なクラスプとのマッチングが良く、全体のバランスが取れています。ブレスが軽量な分、カシャカシャとしたタッチ。ロレックスの古いスポーツモデルも同様に軽快に仕立てられているので、これはこれで良い仕様選択です。
 ただし、ブレスはコストなりの出来で、毛を挟むのか鋭利なエッジがあるのか、ちょっとチクチクする感じもあります。

 巻き上げ感は、スルスルと滑らかな感じ。自動巻きの多くとは違う手巻きならではの巻き心地が楽しめます。さらに、クロノグラフのプッシャーの操作感も良いです。重すぎず、軽すぎず、プチッとキレのあるスタート/ストップの操作感。この操作感の良さはコラムホイールのおかげなのは間違いないでしょう。リュウズによる時間調整もしっとりとしたトルクがあって調整しやすくて好印象です。進み→戻しのバックラッシュはやや大きめでしたが…。

 稼働テスト開始直後は日差+25secでしたが、3日ほどで日差+15secぐらいで落ち着きました。もう少し追い込めるでしょうが、実用上は十分でしょう。しばらく使ってやると調子が出てくるあたりは、そこそこのグレードのヴィンテージのそれですね。

 ラグ横に穴が開いているためブレスとストラップの交換が簡単です。これはうれしい。というわけで、ポールニューマンの実物が着けていたようなブラッククロコっぽい物を装着してみました。


〇最後に評価を述べます


 意匠を特定モデルに意図的に似せている点は一旦横に置いて、ホワイトキングスが整備して54800円で販売している時計として話を進めます。
 この価格にしてはメリハリのあるケース、デザインバランス、悪くない装着感とブレスとのマッチング、ストラップ交換や着こなしが楽しみルックス、見事なクロノグラフの操作感は良いです。特に、定番のETA7750あたりとは一味違う操作感が楽しめる点は高く評価したいです。
 一方、ペタッとした文字盤のプリントやブレスの仕上げ不足もあるので、時計のコストが魅力的なクロノグラフムーブメント(およびその整備)にかけられている点には留意したいところ。
 総じて、時計のデザインおよび機能のバランスが上手く取られたモデルであり、ムーブメントを楽しむ面白さを求めてこの時計を検討するのはアリだと感じました。


 納入前整備の手間の分、注文から納品まで時間がかかるようなので、要問合せとのこと。また、整備内容が気になる人は直接ご確認ください。

※一応、記載しておきます
なお、本記事を執筆するにあたりWhitekingsより当該個体を貸していただきましたが、原稿料などは発生しておりません。