一方で、シンプルな物は時代を超えて『格好良い!』と思わせる説得力があります。
本日は、そんなシンプルさを持つセイコーライナーを取り上げます。
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☆本日の時計
・セイコーライナー J14069
私は、ビンテージ系の時計に興味を持つ前(過去の名品などを目にする前)は、ユンハンスなどに興味を持っていました。
このマックスビルも時代を超えた名品であると言えるでしょう。シンプルですが非常に細やかなところまで調整された均整を持っていると私は思います。
このようなシンプルな文字盤に細い針はマックスビルぐらいしかないと詳しくない私は思っていました。しかし、60~70年代に流行った経緯もあったようで、セイコーのビンテージ、例えばゴールドフェザーやライナーに近いデザインの物が見られます。
〇比較的珍しい黒文字盤のライナー
ライナーという名前を持つ時計は多く、文字盤デザイン、針デザインが多様です。私も、金張りで銀文字盤、ドーフィン針のモデルを持っています。これはこれで好きですね。
ライナーが登場した当初、世界的に『薄型で大きな時計』が流行っていたそうです。ここで大きいと言っても36mm程度のようで、現在の基準で見れば標準的か少し小さめなサイズですね。(当時は32~34mmあたりが中心だったようです)
そんなライナーの多くは白や銀文字盤です。黒い文字盤は人気が無かったのか現存数が少ないです。(たまにオーバーホール済みとして黒文字盤が販売されていたりしますが、リダンされたものが多いように思います)
そのライナーの中で黒文字盤で、レコードのように文字盤に凹凸のあるデザイン、細いバトン針のモデルが今回紹介のライナーJ14069です。ライナーは薄くて大きい時計というのがアイデンティティーですが、こちらはそれより小ぶりな34mm程度のケースに収められています。
内部の機械が公開されているサイトなどで見ますと、パッと見た感じ、機械時計が主流だった時代の最終盤期の10振動ムーブメントと外観上は近いように思います。当然、後のムーブメントとこのライナーのムーブメントでは、内部の細かな部分はバージョンアップされているでしょうが、このライナーが発売された前後で諏訪セイコーのムーブメントはかなり完成度が高まっていたのではないか?と私は推測しています。
ライナーはデザインを変えつつ販売期間が長く、GSやKSよりも安価だった分、現存する個体数が多いようで、比較的安価に購入することができます。また、良い状態の機械が残っているということは、機械自体の安定性や堅牢性も高い(ロービートで無理のない設計)ことが容易に想像できます。
そんな個体数の多いライナーでも、黒文字盤の物はあまり見かけません。ドレスウォッチの良さの詰まった銀文字盤のライナーも良いですが、この余分なものを削ぎ落としたシンプルな美しさを持つモデルも魅力的に感じます。
ちなみに、亀戸生産の薄型時計としてゴールドフェザーがあります。こちらの方が生産時期が短く、人気もあるのかやや高めに推移しています。(復刻としてゴールドフェザーという名前が付けられた時計が販売されていましたね。) ビンテージのゴールドフェザーの方が薄く見えるようなデザインでそれはそれで欲しいのですが、現在は手持ちのライナー2本が大変気に入っているので、無理に買う必要もないかななどと静観しています。(というのは、後々のフリになるかもしれませんけど…)
〇最後に
このページを見られる人の中には、ビンテージのライナーに興味を持っている人もおられるかと思います。個人的には、比較的安価に、丈夫な機械で、ロービートのビンテージらしさもあって、デザインも豊富で、故障時もドナーが見つかりやすく、ビンテージっぽさあふれるライナーはお勧めしやすいと思っています。(防水面だけはちょっと気を使いますが)
同じような系列のデザインに、ダニエルウェリントンやknotなどがありますね。一時期ダニエルウェリントンが大流行して、流行が落ち着いて手放す人も多かったということでちょっと残念ですが、長年使っても古さを感じない素晴らしいデザインだと思うので、このようなシンプルで小ぶりな(36mm程度の)物は1本持っておいても良いと思うのですが。
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