私なんかは、あれやこれや調べるうちに知らない間に詳しくなってきましたが、まったく分からない人からすると、どのモデルがどういう立ち位置なのか分からないと感じて当然かと(苦笑)
そこで今回は、セイコーダイバーズウォッチの中でも、ダイバースキューバシリーズの中で、過去モデルの復刻や現代版アレンジと呼ばれるモデルに着目し、それらのモデルの由来を簡単に解説します。これらのモデルの背景を知ることで、より魅力を感じ取っていただければ、と思います。
最近興味を持ち始めた人が、ざっくりとラインナップを知りたい、という要望に応える記事となっております。
※2020年7月改訂
ラインナップが大幅に拡充されたので、再構成しました。
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〇セイコーダイバーズウォッチの魅力
まずは一般的なポイントを。
・ラインナップ・デザインが多くて多彩
・スペックや信頼性が高く、ダイバーの信頼も厚い
・低価格なラインナップからガチな物まで多彩
ダイバーの信頼については、世界最大のダイビング教育機関PADIと数多くコラボしているのを根拠としました。
↑これがPADIコラボの例
日本にもファンの多い同シリーズですが、海外にファンが多いのも特徴で、熱心なレビュー記事やinstagramの投稿が多くあります。今回、この辺りの魅力を語り始めるとそれだけで1本の記事になるので割愛し…そんな感じと思っていただいた上で、次に進みます。
〇2019年のラインナップは大きく分けて4ラインある
これまでは、上位のマリーンマスタープロフェッショナルと、それより下位のダイバースキューバ、およびそれに属さない低価格ダイバーズ(ボーイシリーズ)で構成されていました。ここに、2019年にLX Lineが登場しました。LX Lineはセイコースポーツ系のトップグレードのグループなので、LX Lineの中のダイバーズモデルがあるという認識が正確です。
今回は、ラインナップの多いダイバースキューバについて述べます。
〇ダイバースキューバ(Diver Scuba)のラインナップ
上位のマリーンマスタープロフェッショナルは、飽和潜水と呼ばれる特殊業務に対応可能なプロ向け機材という立ち位置です。一方、ダイバースキューバはスキューバダイビング向けのスペックとなっています。
デザインの多彩さと、長年ダイビングに使われてきた高い基本性能が、比較的安価に楽しめることが魅力となり、ストリートユースでも支持されてきました。
この中で、明確には分かれていませんがグループ分けすると、過去のダイバーズウォッチの復刻デザイン系(ヒストリカルコレクションとも呼ばれる。また復刻と明示されている。)と、それ以外に分けることができます。今回は、デザインの由来などを知っていると魅力が増すであろう、前者の復刻デザイン系に注目します。
〇先に搭載ムーブメントの紹介
ダイバースキューバにはクォーツモデルもありますが、今回紹介の復刻系デザインは全て機械式です。各モデルで紹介すると長くなるので概要を示しておきます。
今回紹介するモデルにはセイコーの中低価格帯を支える6R15および4R系ムーブメントが搭載されています。6Rの方が上位という扱いですが、4R36のデイデイト表示が出来るムーブメントは6R系に無いようで、単純に上位下位と言うのも難しいところ。
★6R15
・自動巻き 手巻き可能
・パワーリザーブ50時間
・セコンドハック付
・時分センター秒 日(デイト)
★6R35
同上。ただし、
・パワーリザーブ70時間
同上。ただし、
・パワーリザーブ70時間
・自動巻き 手巻き可能
・パワーリザーブ41時間
・セコンドハック付
・時分センター秒
4R35
+ 日(デイト)
4R36
+ 曜日(デイ)日(デイト)
精度も6R系の方が良いことになっていますが、個体差の方が大きいのでは?と思っています。(根拠なし)
パワーリザーブは長い方が便利なのは違いありません。しかし、使い方によって恩恵を受けられるかどうかには差があります。
大雑把に言って、スポットで(例えば土日だけ)使う人は、長いパワーリザーブの恩恵は受けにくいです。また、平日のみ使用して、土日は外す人にとっては、41時間も50時間も大差ありません。対して、パワリザ70時間は、金曜の夜に十分に巻き上がっていれば、土日に使用しなくても月曜の朝まで動いていることが期待できるので、メリットがあります。
■ヒストリカルコレクション ファーストダイバー SBDC101 SBDC053
ファーストダイバーと呼ばれる、セイコー初のダイバーズウォッチのデザインを元にしたSBDC101が、2020年に追加されました。縦方向に短く、張り出しの小さいラグとケースサイド、薄く着用性を高めた仕上がり、ケースの仕上げの良さにより、キレがあり、引き締まった印象を持ちます。
どことなく、インフォーマル(ビジネス系)ウォッチからの進化を感じるデザインで、後に示すゴリゴリのスポーツウォッチとは異なるエレガントさや渋さがあります。6R35搭載で、実用性も高いですね。
なお、セイコーコアショップ限定商品となりますが、通販でも入手可能。
ラバーストラップだと、スポーツウォッチの雰囲気が強くなります。
■ファーストダイバー現代版 SBDC051 SBDC053
SBDC101の前身として、SBDC051とSBDC053が存在します。同様のコンセプトで、2020年7月現在では併売されています。こちらは一般流通品となります。コンセプトがSBDC101と近すぎるので、今後継続されるか否かは微妙なところ。6R15搭載。
価格が、SBDC101等よりも安価な分、仕上がりを見比べると辛いですが、十分に魅力的なレベルにまとめられています。
SBDC053(青)はシリコンバンドです。こうなると、スポーツウォッチの雰囲気が強くなります。実物を見ますと青色がなかなか綺麗で魅力的です。
■メカニカルダイバー1968現代版 SBDC061 SBDC063
ハイビートムーブメントを搭載して1968年に登場したモデルを完全復刻したSBEX007の現代版デザインがSBDC061系です。当時のモデルは、セイコーダイバーズウォッチにおいて4時位置にリューズを持ってきた初期頃のモデルで、後に特徴のとして引き継がれています。SBDC061(およびそのシリーズ)はこの特徴を採用したモデルになっています。ムーブメントは6R15。
似た形状のモデルに、SUMOと呼ばれるSBDC083系があります。ざっくり評するとSUMOがマッシブな感じ、1968現代版はシャープなイメージになっています。誤解を恐れずに言うと、1968現代版は、SUMOとファーストダイバー系の中間的なデザインです。SBDC083は6R35搭載であり、この価格でパワリザ70時間は魅力的です。
ラグ部分が少し長めで、腕が細いと飛び出す感じがあるかもしれません。共に試着したことがありますが、ラグの形状が上手く作られていて腕にフィットする感じがあり、装着感は良いですので腕が細い方も試してみても良いかもしれません。
■セカンドダイバー ヒストリカルコレクション SBDC109 SBDC111
2020年の新作。メカニカルダイバー1968とほぼ同時期に登場していた、植村ダイバーとも呼ばれるモデルを元にデザインされているモデルです。Cラインと呼ばれるケースサイドの張り出しの大きく、リューズガードとケースが一体化したデザインで、この後のサードダイバーに繋がるデザインテイストを持ちます。セイコーデザインの独自性を強く持つモデルであり、元ネタはコアなファンが多いモデルでもあります。
SBDC109の特徴は、大柄に見えるデザインながら、縦横にコンパクトに仕上げてきたことにあります。おそらく、腕の細い人でもフィットしそうな形状にまとめてきており、現代のセイコーの気合の入り方が感じ取れます。6R35搭載。コアショップ限定モデル。
■サードダイバー復刻版 SBDY015 SRP775等
1977年登場のサードダイバー(愛称タートル)は、先のセカンドダイバーの影響を強く感じさせるモデルで、スペック変更もありつつ1984年まで製造されていた長寿モデルです。(詳しくはこちら)
そんなサードダイバーの復刻版SBDY015系は、現在のセイコーの復刻ラインナップの先駆けとなったモデルです。それだけ、元ネタに人気があったってことですね。
先の現代版シリーズよりもムーブメントやブレスの性能が抑えめで、比較的安価な約6万円程度となっています。ムーブメントは4R36。
ケースの張り出しが大きく、デカいのは間違いありませんが、ラグが短くて腕に沿うように作られており、装着感は驚くほど良いです。カワイイ感じと無骨な感じが同居するデザインが気に入っています。
■サムライダイバー復刻 SBDY007
サムライと呼ばれたダイバーズウォッチSBDA003の復刻デザインになります。現代版と呼ばれるシリーズが出る前の製品で、復刻と言うにはオリジナルからデザイン変更がそこそこあります。ムーブメントは4R35。
元のモデルとの比較については、泥沼時計収拾メモさんを読んでいただけるとよいかと。
見て分かる通り角ばった厚いケースデザインで、ラグ形状が特徴的です。形状も縦48.4mm×横43.8mmと正方形に近いのが特徴的です。ラグ部分が厚いため、サイドから見た時にも厚さを強烈に感じます。(ちなみに厚さは13.4mm)
試着してみると、ラグが腕にフィットする形状で不思議とフィット感が良く、角ばった形状も相まって時計というよりも装置やバングルのような印象を受けます。この雰囲気が好きになったら、他に似たモデルが他社を見回してもなかなか無いですので、選ぶ価値はあるかと。
細かな特徴を挙げると、ベゼルがセイコーダイバーズでは珍しい15分までは目盛りだけで色の変化がある(かつ10分刻み)というのも。割とデザインのアクセントになっていると思っています。
〇最後に
今回は扱いませんでしたが、セイコーにはマリンマスタープロフェッショナルシリーズもあり、その代表のひとつであるツナ缶と呼ばれるモデルの低価格シリーズがダイバースキューバにもあります。さらに、これらとは独立したデザインも同シリーズには多くラインナップされています。
また、そこには含まれないボーイシリーズや、さらにさらに海外流通モデルなんかもあって非常に多彩で複雑なラインナップです。
2020年現在、セイコーはダイバーズウォッチのラインナップを大きく入れ替えてきています。ケースの仕上げの向上やスペックアップに伴って価格も上昇してきています。価格上昇分は十分に納得できるレベルですが、安価なモデルが減って寂しい気持ちもあります。
従来モデルはしれっと生産終了しているパターンがあるため、デザインの好みとお財布事情が合えば、早めに検討した方が良いかなぁ…と考えています。
※今回紹介したセイコータートルのレビューもあります。
→【レビュー】サードダイバーズ復刻タートルSRP775J
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