というわけで今回は、形状が似ていて両方とも機械式時計という、ラインナップの中で特に差が分かりにくいSUMO SBDC083とメカニカルダイバーズ現代版SBDC061の違いについて解説したいと思います。
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☆本日の時計
・SUMO SBDC083(SBDC081)とメカニカルダイバーズ1968現代版 SBDC061 SBDC063
〇はじめに
この記事は、最近セイコーのダイバーズウォッチに興味を持ち始めた人で、このモデルが気になったら思うであろう『SUMOとメカニカルダイバーズ1968(現代版)って何が違うの?』という疑問に答えようという記事です。
SUMO |
1968メカニカルダイバー |
↑画像は楽天市場にリンクされています
結論を先に申しあげると、デザインのルーツとか、スペックや仕上げ、価格もちょっとずつ違います。そして、実際に購入を考えるとコストパフォーマンスを考えたくなりますが、『格好良い!』『長く付き合える!』と思ったモデルを選ぶのが一番!と主張しておきます。
〇セイコーダイバーズの歴史
SUMOとメカニカルダイバーズ1968(現代版)の違いを理解するためには、セイコーダイバーズウォッチの歴史を振り返る必要があります。ずーっと続いてきているデザインの変遷のうち、この2つのモデルは、流れと言いますか分岐したポイントがちょっと違うのです。
1965年にファーストダイバーと呼ばれるモデルを発売したセイコーは、1968年にハイスペック仕様のモデル(最近では1968メカニカルダイバーズと呼ばれる)を投入します。この特徴は…
・300m防水
・ハイビート(10振動)
・ワンピースケース
という3点でした。これを忠実に復刻したのが、SBEX007です。(公式サイト)
[楽天市場]SEIKO PROSPEX SBEX007
これと並行して、普及価格帯としてセカンドダイバー(SBDX031として復刻)が発売され、サードダイバー(いわゆるタートル)などに進化していきます。
[楽天市場]SEIKO PROSPEX SBDX031
↓こちらが現行タートル。限定品じゃないので買いやすい価格。
⇒現行タートルSRP775のレビューもあります
なんとなくセカンドダイバー⇒サードダイバー(≒現行タートル)のデザインの流れは理解いただけるかと。この頃から腕時計の主流が機械式からクォーツに変わったりする都合でデザインが大きく変わったり途絶えかけたり…と時代の流れを感じます。
〇SUMO SBDC083のルーツ
セイコーは、2007年にSUMOの初代モデルSBDC001を発売します。ここからマイナーチェンジを繰り返し、現在のSBDC083につながります。
またほぼ同時期の2008年に、ハイスペックな機械式ダイバーズウォッチとしてSBDX001(=MM300)が発売になります。MM300はマイナーチェンジを続けてSBDX023として現在も発売されています。MM300は、デザインや300m防水である点、ワンピースケースであることから、先の1968メカニカルダイバーズを強く意識しているのが分かります。
以上、SUMOとMM300と、過去のモデルを見比べると分かるように、当時のセイコーは過去の1968メカニカルダイバーズ等をオマージュしつつ、セイコーダイバーズ=4時位置のリューズ+がっちりしたラグというイメージを作りたかったのかな?と感じます。
SUMOは発売後、上位機種のMM300っぽくて力強いデザインで、安価で、でも200m防水の頼れるダイバーズウォッチとして海外で人気になりました。(SUMOという愛称はこの時にファンによって付けられた)
これが、現在のSBDC083の系譜です。
〇SBDC061のルーツ
SBDC061も、SUMOやMM300と同じように、1968メカニカルダイバーズをルーツに持ちます。
セイコーはラインナップを見直す中で、過去のモデルを強く意識してリデザインした『現代版』とか『リイシュー』というモデルを作り始めます。この過程で、先の現代版タートルや、ファーストダイバー現代版のSBDC051を発売します。
言うならば、ファンの間で「過去のあのモデルを意識しているねー」とか言わせる前にセイコーオフィシャルが『このモデルを現代版として復刻しました!』と言って発売するわけです。
この取り組みの中で、1968メカニカルダイバーズ現代版SBDC061が発売になります。つまり、なんやかんや色々あって過去モデルのデザインを参考にしつつ生まれたのがSUMOで、過去モデルのデザインをそのままリデザインしたのが1968現代版です。
えー…なんとなく分かっていただけましたでしょうか…?
☆SBDC083とSBDC061を比較する
ではここから、SBDC083とSBDC061を比較していきます。
〇デザイン面での違い
大きな違いは針形状で、SBDC083は太い剣型時針でSBDC061は矢印時針です。秒針は、SBDC083はMM300系の先端にマークがある物、SBDC061は反対側にドットがある物になっています。
文字盤も違いますがいちいち説明するときりがないので省略して、案外イメージが大きく変わるのがラグ・ケース形状です。SBDC083は有機的でラグが盛り上がって力強い印象でSBDC061は直線的でシャープな印象です。ケースサイドも、SBDC083はベゼルを包むようなデザインでSBDC061はベゼルが出ているデザインであり、結構印象が違います。
この辺りは、上記ショップの拡大写真をじっくり見ていただけると良いかと。
〇スペック面での違い
すべて書くと長いので、ポイントだけ述べます。
SBDC083
・6R35(24石パワリザ70時間)
・サファイアガラス
SBDC061
・6R15(23石パワリザ50時間)
・サファイアガラス内面無反射コーティング
・ケース ダイアシールド(キズ防止)
ちなみに仕上げに関しては、SUMOは低価格ダイバーズとして生まれて、仕上げはまぁ、そこそこって感じでしたが、SBDC083にマイナーチェンジしたことにより外装の仕上げが格段に良くなりました。SBDC061はもともと『ちょっと良いダイバーズ』として生まれたこともあり、仕上げは良いです。(どちらが良いかは不明…)
ブレスは比較するとSBDC061の方が少し良い物が使われています。(バックルの3つ折り部がソリッド仕様の高級品)
〇購入の決め手となるのは…
話が進まないので、どちらかが欲しい!という前提で書きます。
価格は、2019年8月時点で、SBDC083が92000円で、SBDC061が95000円です。SBDC061の方が発売から時間が経っているので少し値段が落ち着いてきました。
内部の機械は明らかにSBDC083の方が使い勝手は良いです。
例えば職場用にダイバーズウォッチを、土日はエレガントなモデルを…という人を考えます。SBDC083のパワーリザーブ70時間分巻き上がっていれば、金曜日の夜に外して土日使わなくても月曜日の朝はまだ動いています。これは便利です。この点を重視する人は選ぶポイントとしても良さそうです。
一方、毎日使う、もしくは止まっていても気にならない人はSBDC061でもさほど変わりません。キズ防止や、使うシーンでの光の反射で文字盤が見にくいという経験がある人はSBDC061を選ぶポイントになるかもしれません。
ネームバリューは個人の見解に任せますが、1968メカニカルダイバーズを『現代っぽく復刻した』SBDC061と、発売から10年以上支持されてきたSUMOを比較すると、私はSUMOの方がネームバリューが有るのかな?と感じます。
とはいえですね、やっぱデザインで決めればよいと思いますよ。なかなか高い買い物ですから、永く使える好きなデザインを選ぶのが間違いないです。
マッチョさとか有機的なデザインのSBDC083と、シャープさやキレの良さ、道具らしいシンプルさはSBDC061の魅力です。グリーンのモデルが欲しければSBDC081でしょうし、渋いネイビーのベゼルが欲しければSBDC063でしょう。
↑ラバーベルトなら結構安くなる
ちなみに、SUMOは長く人気モデルであったため、サードパーティーによるカスタムパーツなども販売されていまして…
(⇒Crafter Blue公式)
いや~これ、めっちゃ格好良いと思うのですよ…(SBDC061とSBDC063は対応しません) これを使うのにSUMOを買おうか悩んじゃったぐらいです…
〇最後に
とても長くなりましたが、セイコーさんがこんなにも似たモデルを出しているのが悪いのですよ(←)
詳しく知ると魅力が増してくるモデルだと思います。そういった魅力を理解しつつ、目先のスペックやコスパとかに目を奪われずに、永く使える自分好みのモデルを選ぶのが最も幸せだと私は考えています。
私ならどっちを選ぶか?って?
う~ん、ケース形状はSBDC061なんだけど、針はSBDC083の方が好きだし、SBDC081のグリーンもとても綺麗なんですよ…。そしてSUMOに対応のCrafter Blueのラバーベルトとのマッチングが非常に良い…、パワリザ70時間は魅力的…ということで『SUMO一歩リード』とお伝えしておきます。
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